『よそ者の会』坂本彩音(出演)インタビュー
- よそ者の会
- 5月20日
- 読了時間: 18分
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🎬 映画『よそ者の会』
2025年5月23日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開!
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上映に先駆けて、このページでは映画をより深く楽しめる特別コンテンツを続々公開予定です!
今回は、メインキャストである坂本彩音さんの特別インタビューをお届けします!
坂本さんのこれまでのこと、そしてこれからのことなど、ボリュームたっぷりの内容となっております!
観る前に読んでも良し、観た後に読み返しても良し!『よそ者の会』の世界を、さらに楽しんでいただけますように──。
どうぞお楽しみください★
映画『よそ者の会』あらすじ
鈴木槙生は大学の清掃員として静かに働く傍ら、密かに爆弾作りに没頭している。そんなある日、構内で「よそ者の会・会員募集」と書かれたポスターを目にした槙生。入会の条件は、「よそ者」であること。興味を抱き会合に参加してみると、そこには日々の鬱憤や殺伐とした感情について語り合う学生の姿があった。その奇妙な集まりを主催するのは坂田絹子という女子学生。一見普通の学生に見える絹子も、意外な秘密を抱えていて。・・。「どこにいてもよそ者だと感じる」。そんな「よそ者」たちが、ひとつの場所に集まった。
インタビュアー 西崎羽美(監督)
▼はじまりは「演じる楽しさ」から
西崎 : まず、演技を始めたきっかけについて教えてください。
坂本 : 中学生の頃、演劇部に入ったことがきっかけでした。
そもそも演劇部に入ろうと思ったのは、テレビドラマが好きだった影響が多分一番大きいです。本当は演劇部か美術部に入るかで迷っていて、でも演劇部に見学へ行ったら、押しの強い先輩がいて、押されるがままに入部しました。演劇部に入ってからは演技をすることがすごく楽しくてどんどん好きになっていって。
ただ、演劇を見ることは当時はあまり面白いと思えなかったんです。
中・高の演劇部は、キャラメルボックスっていう劇団から無料で観れますよってお知らせが来て、それを部活のみんなでよく観に行ったりとかしてたんだけど、あまりピンとこなくて。いわゆる演劇って言って想起するのって劇団四季だと思うけど、それも全然ピンとこなくて。演技するのはこんなに楽しいのに、なんで観るのは楽しくないんだろうって疑問に思っていました。
そんな時に観た舞台の当日のパンフレットに挟まっていた『わたしの星』キャストオーディションのチラシを見つけて。
中高一貫校だったんですけど、高校に上がったタイミングで、同じ部活だった子達がみんな辞めて高校生の部員が私一人になっちゃって、高校演劇の大会への憧れが強くあったけど人数が足りなくて出られない…と葛藤していた時に、オーディションのチラシを見て、同じように演劇やってる同級生とかと会えるチャンスかもって思った。あと当時すごく星が好きだったから導きを感じて「これだ!」と思い誰にも相談せずにとりあえず応募しました。
西崎 : そうなんですね。
坂本 :「ままごと」っていう劇団の、岸田國士戯曲賞っていう、いわゆる演劇の芥川賞みたいなものを受賞した『わが星』っていう作品があって、『わたしの星』はその作品の姉妹作だったんだけど、そんな大層なものとは知らずに受けて、受かって。
「わたしの星」


そこから出演する前にとりあえずままごとの作品を観に行ってみようと思って『あゆみ』っていう作品を観たんだけど、その作品に甚く感動して。キャストが青年団の方たちで、映画美学校のアクターズ・コースの先生方も青年団の方が多いから、この出会いが後に繋がっていくんだけど。
『あゆみ』の内容は、一人の女の子の生涯をいろんなキャストさんが代わる代わる演じるっていう作品で、なんの変哲もない物語なのに小さい頃に感じてた感情がぶわっと蘇ったり、知らなかった母側の目線を知ったりして、自分の記憶と目の前で起きてる物語がたくさんリンクしていってもう帰りの電車の中でも涙止まんないくらいすごい感動してしまって。
それ以来ままごとと同じような規模感で演劇をやっている、「マームとジプシー」「ロロ」「範宙遊泳」とかを見に行くようになって、それから演劇を観る方もめちゃくちゃ面白い!って思えるようになったんです。
西崎 : それで、大学に進学するんですね。
坂本 : 中高の時から自分で脚本を書いて文化祭で上演したりとかもしてたんだけど、やっぱり作る側で関わり続けたいって思って、武蔵野美術大学の空間演出デザイン学科に入りました。
演劇サークルに入りながら舞台美術を作るコースに入ってたんだけど、そこで自分はものづくりがあんまり向いてないことに気がついて。舞台美術とかって、きっちり測ってそのサイズ通りに切って組み合わせてみたいな丁寧さと根気が必要なんだけど、わたしはきっちりしっかりみたいなのがどうも苦手で。それよりはコンセプトを考えたりとか、企画をしたり演出したりすることの方が得意だし好きだって気がついて。それで大学外で俳優をやったりしながら、学内では人を集めて自主企画をやったりしていました。
そんな感じで大学を卒業しても演劇を続けていきたいなって思ってた矢先、コロナが始まって。

西崎 : そのタイミングで映画美学校アクターズ・コースに入ったんですね。
坂本 : うん。映画美学校の存在については以前から知っていて。ものすごい良い!って思った俳優さんが、調べてみたら映画美学校出身ってことが多かったり、先生が私の好きな青年団の方が多かったりしたからずっと気になっていて。それでコロナであまり活動できない間に通ってみようかなと思って。映画美学校のアクターズ・コースは"自分で作れる俳優"っていうのがキャッチコピーになっていて、私も自分で作・演出やったりしながら演じる側もやっていたからシンパシーを感じて受講することに決めて、そこで羽美ちゃんにも出会って今に至るっていう感じです。

西崎 : 舞台を作ることもできるし、出ることもできるし、めちゃめちゃオールマイティじゃないですか。
坂本 : そうだね(笑)舞台に関しては部活含めたらもう10年以上やってるしね。でもこうやって今回映画に出させてもらって、映画祭にいったり、対談の機会をいただく度に自分の映画に関する知識が浅すぎることを痛感したから、これからは映画をもっと勉強したいって思ってる。
西崎 : ぜひぜひ。今後演劇に関しては、演じる側と作る側のどちらにより力を入れていきたいと考えていますか?
坂本 : どっちもやりたいし、どっちも続けていきたい。両方やるのが自分にとってすごくバランスがよくて。出演する側は本当にプレイヤーって感じで。もちろん俳優として出演しながら自分で考えることもたくさんあるんだけど、演出家によってこういうことやりたいのかな?みたいなことと自分のやりたい表現をすり合わせしたりするのが、楽しい反面ずっと続くと自分が消費されていく感覚があって。いつのまにか自分が何を考えててとか、自分がどういうことをしたくてみたいなことをおざなりにしてっちゃう時があるんだけど。
作・演出をやるときは今、自分が作りたいものを書いたり、試してみたいものととにかく向き合う時間になるから、内側が埋まっていく感覚があって、どっちもやってるとそのバランスがすごくちょうどいい。
西崎 : 演劇は長期間関わることが多いと思うんですけど、そういう時って、つい役に深く入り込んだりするものなんですか?
坂本 : 入り込むかも。演じている時はアドレナリンが出ているからとにかく楽しくて、その時には疲れているって感じはしないけど、終わった後の次の日は一日中何もできない。
西崎 : そうですよね、やっぱり大変な世界ですよね。
▼ヴァルネラビリティをどう受け入れるか
西崎 : 演じるのも作るのも含めて、今後やってみたい作品やジャンルってありますか?
坂本 : 出る側としては、この人の作品に出たいというのは結構ある。演劇を普段観ない友達にも観て欲しい!と思う作品にも出たいですね…。
映画は、ずっと一つの場でひたすら会話をするような作品とか、めっちゃ怒り狂って喧嘩しているものとか、逆にほとんど喋らないでその場に佇んでいる、みたいな役をやってみたいかも。
今の自分の演じる上でのテーマはヴァルネラビリティを大切にすること。弱さとか脆さとかって意味の単語で、私も最近知ったばかりなんだけど。自分の弱さをオープンにしたまま舞台やカメラの前に立つことができるようになるためには、とにかく自分を理解することと、それを人前で出せる強さがないとダメだなと思っていて。
どう思われたいとかどう喋りたいとか一切なしに本来の自分のままで台詞を喋るということができるようになりたい。
今は、昔から他人の目線ばっかり気にして自分がどうしたいのかとか何を感じているのかとかをおざなりにしてきた故の喋りの癖みたいなものが演技に出てしまっているなと思っていて。
のべっち(川野邉修一)の演技とか、今回のよそ者の会に出演していたスタッフみんな、スクリーンでみたときにものすごい演技いいなって思う瞬間がいっぱいあって。みんな自分の体のまま台詞を喋ることができていて、それと比べて自分の演技が浮いてしまってるなと感じてしまったりして。
だから私がいいと思うお芝居ができるようになるために、まず自分のダメなところとか弱いところとかを出せるように自分ともっと向き合わないといけないなと思ってます。
自然体の演技をできてるつもりだったけど、実際に本人の声のまま喋るってことができてる人と並んだときにこんなに浮いて出ちゃうんだってことを実感したから。
鈴木睦海さんっていう映画美学校アクターズ・コースの先輩がいるんだけど、一度共演させていただいた時に、まさにすごく理想的なお芝居をする人だなと思って。とっても自然体でフラットな喋りなんだけどその中に微かだけど確かな揺れがあってそこに触れた時にグッときてしまう。それはおそらく作ろうとして出ているものじゃないと思うから、そういう演技ができるように成長していきたいなと思っている。

西崎 : やっぱり自覚することが大事なんですか。
坂本 : そうだね。自覚することが大事だと思う。
西崎 : それって演じることもそうですし、創作活動においては、いろんなジャンルにおいて言えそうですね。すごく大事な感覚だと思います。
坂本 : それこそ沢山映画を見てきたかとか、どれだけ本を読んできたのかっていうのって、どれだけ演じてようが、本人の中に蓄積しているものって音と一緒に出る。
西崎 : 確かに。演じる人と一緒に創作をする身として、それは私もわかります。この人は映画をたくさん見てるんだろうなとか、ずっと演劇やってきたんだろうなとか、ある程度分かる部分があるので。演じる側と演じない側の感覚も多少違うでしょうけど、演じる人はどういう感覚なんだろうっていうのはすごく気になっていたので、面白かったです。
坂本 : ありのままの自分をいいと思ってもらった人と一緒にものづくりができたらそれ以上幸せなことはないなと思うし、今回は結構それにかなり近い状態でやらせてもらえたと思って幸せです。
西崎 : ありがとうございます。
▼ケアと演技
坂本 : 作る側としては、最近「ケア」っていう言葉が注目されていると思うんですけど、私自身も演技とケアの親和性に今とても関心があって。
たとえば、ただその場にいて、誰かの話を聞くことで生まれるケアとか、自分が話した言葉を誰かが繰り返してくれることで感じられるケアとか。演技を通して、そういったケアが生まれる瞬間をたしかに目撃してきたし体感してきて。今はそれを物語の中で再現することに興味があります。
あとはセリフがなくても、ただ人がそこに立っているだけで場が成立する瞬間があって。観ている人それぞれが勝手に背景を想像してしまうような、そんな余白のある空間が好きなんです。演じる人と観る人の間に、メタファーが生まれる。その解釈の幅こそが演劇の魅力だと思っていて。
だからこそ、私はできるだけ削ぎ落とす方向で作品をつくっていきたい。説明しすぎず、余白の中に意味が滲み出るような作品制作を目指しています。
西崎 : 今お話を聞いていて改めて思ったんですけど、演劇って、観客に“具体的な場所”が明確に提示されるわけではないじゃないですか。映像だったら、ちゃんと画として場所があって、その空間の中に人物がいて…っていうのがはっきり示されるけど、演劇はそうじゃない。
でもそれでも、観客の中に場面がちゃんと立ち上がる。それってすごいことだなと思うんです。私自身は映画畑にいるので、余計にそう感じるのかもしれないけれど、そういう何もないところから場を立ち上げて、観客にその絵を浮かび上がらせる筋道が成立する、その演劇の力ってすごいですよね。
坂本 : そうなの、 本当にめちゃくちゃ自由なんだよね。例えば舞台に三人いたとして、三人それぞれが違う場所にいるよって言っても別にいいというか、そういうことすら成り立っちゃう。
西崎 : そう考えるとまた別の見方ができるし、演劇を見に行きたくなってきました。おすすめ劇団リストを送ってください。
坂本 : 送るね。
西崎 : ありがとうございます。
▼「誠実に描く」ことが信じられる作品たち
西崎 : 今まで演劇のことについてたくさん伺ってきたので、映画のことも少し。どんな映画が好きなんですか?
坂本 : 一番好きかもと思ってからいまだにそれが更新されてないのは『アフターサン』です。あと山中瑶子監督と濱口竜介監督は、本当に好きな作り手です。お二人とも、描く対象に対してものすごく誠実だなと感じていて。『よそ者の会』もそうだけど、何かを抱えている人たち、特にマイノリティの人々が実際に世界の中で何を感じ、どう生きているのかというところに対して、とても丁寧に向き合っている。
そういう誠実なまなざしがあるかどうかが、今の私にとってその作品が好きか嫌いかの判断基準になっている気がします。
西崎 : なるほど。
坂本 : 山中監督も濱口監督も、きっとすごく丁寧に取材をしていたり、山中さんの場合はご自身の体験が強く反映されていたりして、だからこそ描かれる人物たち全員に嘘がないと感じます。
マイノリティを抱える部分において、自分が観客としてその映画の中に入ったときに、“いや、こんなふうにはならないよ”って思ってしまう瞬間があると、すごく悲しくなるんですよね。だからこそ、ちゃんとリアルに、誠実に描かれている作品に出会いたいと思っています。
あと、私は小さい頃からドラマをよく観ていた影響もあって、結構“映像を通した演技”において、癖な部分があるというか、間とか、語尾とか音がリアルに近ければ近いほど興奮してしまうんですけど(笑)濱口さんの映画作品は、とにかく俳優さんたちの会話の精度がすごいなって思ってます。
台詞そのものは現実の会話と近いと言われるとそうではないし、むしろ独特なリズムがあったり整いすぎている部分があるんですけど、それでも役者さんたちの発語と反応がめちゃくちゃリアルで。
どうしてカメラの前であんなにも"本当の"反応できるのか、わからない…と観る度に思います。
リアルだな、自然だな、という次元を超えた本物としか言えない瞬間があって、初めて濱口さんの作品を観たときは本当に衝撃でした。「あ、こんなこと映像でできるんだ」って。
西崎 : 坂本さんはイタリア式の演技はやったことありますか?
坂本 : ちょっとだけだけど、やったことある。すごく面白かった。あれって、その技法をそのまま本番で使うというより、土台を作るためのものだと思っていて。情報をなるべく入れずに、同じことを何度も繰り返して体に染み込ませて、最終的には手放してただただ聞いて反射できる状態にする。そういう感覚に持っていくための、本当に土台づくりだと思う。
西崎 : 私も美学校の授業でやってみたり、自分の作品の本読みの際にも少しだけイタリア式をやってみたことがあって。確かに削ぎ落として平らにした状態で、そこから作り上げていくみたいなのはめちゃめちゃやりやすくて。演劇の現場でもイタリア式はやるんですか?
坂本 : 団体によってやり方は違うと思うけど、私がこれまで出てきたところでは、けっこう似たような技法をやることが多かった。たしかに余計なものを削ぎ落としていって、その状態を繰り返しやればやるほど、「今この人は何について話してるのか」がクリアに見えてくるんだよね。
日本の商業映画って、感情表現が前面に出すぎてるなと思うことが多くて。「今この人は泣いてる」とか「悔しがってる」っていうのは伝わるけど、それが“何に対して”泣いてるのか、“何を思って”悔しいのかっていうのが見えにくい時がある。感情だけが先に来ちゃって、話してる内容や背景が伝わりづらいっていうか。
それが、余計な要素を削ぎ落とすことによって、物語自体がすごく伝わりやすくなる。きちんと伝わると、脚本が成り立っているものだと、大袈裟な感情を表出させなくても観ている側にちゃんと起きていることと言葉が蓄積されていくから、観ている人が目の前にいる俳優と同じ状態になれるんだよね。俳優がそんな大げさに演技しなくても勝手に共鳴できるようになるっていうか。
西崎 : 確かに。それはありますね。それまでいた環境というか、どういうところで演劇の勉強をしたかによって、本当に発声方法に違いが出てるというか。それはいろんな役者さんを見ててすごい思います。
▼想像する人でありたい
西崎 : 坂本さんの俳優としてのアピールポイントはありますか?
坂本 : うーん…。"考えることができる人"であることだと、思います。
西崎 : 確かに。いろんなところにアンテナを張れるっていうのはすごい大事なことだと思います。役者としてもそうですし、人としてもそうですし。
坂本 : 作り手側の経験があるから、作品の意図みたいなものを一緒に考えたり、理解した上で自分の演技を組み立てるっていうことができるのが推しポイントです(笑)
映画美学校の授業で、シェイクスピアの『ハムレット』を使って、作品に対して自分なりの仮説を立てて演技プランを作る、みたいなことをやったことがあって、その経験が今でもすごく活きているなと思う。
例えば「オフィーリアは実はこういう人だったんじゃないか?」という仮説を立てて、もう一度作品を読み直して、演技を組み立てていくんだよね。

西崎 : 興味深い授業ですね。そうした経験を積んできたこともそうですし、やっぱり両方から考えられるのは大きな強みですよね。
坂本 : ただ、自分を客観的に見すぎてしまう弱さもあるかもしれないけど。
西崎 : 少し話が飛んじゃうんですけど、それこそ世界のことをちゃんと知ろうとする姿勢って、演技に限らずすごく大事だと思うんです。で、坂本さんはそれをちゃんと行動に移せているじゃないですか。たとえばガザのことも、想像しようとするだけでぐっと距離が縮まるというか。演技って結局は想像することですし、いろんなところにそういう姿勢っていうのは反映されていくんじゃないかなと思います。
坂本 : そう思います。あと、私の周りには、シンガーソングライターの友達が多くて。自分一人で詩を書いて、曲も作って、常に音楽のことを学んで、社会の情勢に目を光らせて、本をたくさん読んで、たくさん想像力を働かせて作品を作っている。そういう人たちから受けている影響もすごく大きいです。私もそんな俳優・作家であり続けたいと思ってます。
今ってトップダウン式の、演出家だけが指示を出すような制作の仕方じゃなくて、チーム全体で意見を出し合って作品をつくるっていうスタイルが増えてきてると思うし、私もそういう現場のほうが好き。
『よそ者の会』もまさにそういうつくり方だった。だからすごく良かった。
何度も伝えてることだけど、最初に演技してみて、違和感があったら言い合って、それをすり合わせて、全員が納得できる状態で本番に入るっていう、そういう現場って意外と少なくて本番一発でOKが出て、あとから「あれもこれも足りてなかったな」って思うことも多いから。
今回は、自分の考えたことも反映できて、納得したうえで演技ができた。想像力って、演技だけじゃなくて、人とのコミュニケーション全般においてもすごく大事だと思うんだよね。

西崎 : そうですね。それこそ想像する感覚ですよね。
坂本 : 想像できる人であり続けたいです。
西崎 : 私もです。
坂本 : あははは(笑)
西崎 : みなさん『よそ者の会』ぜひ観に来てください。
坂本 : 観に来てください!
西崎 : 急にまとめちゃいました(笑)
坂本 : じゃあ、こんな感じで(笑)
(完)
対談者プロフィール
坂本彩音(出演)
1997年生まれ。東京出身。テレビドラマが好きだった影響で中学生から演劇部に所属。高校生の時にオーディションを受けて出演した劇団ままごと「わたしの星」をきっかけに演劇に関わる仕事をしていきたいと思い、武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科に入学。その後"自分で作れる俳優"というキャッチコピーに惹かれ映画美学校アクターズ・コースに入学、2022年に修了。過去出演作品に、ままごと『わたしの星』 / 情熱のフラミンゴ『ドキドキしていた』 / 小田尚稔の演劇『よく生きろ!』などがある。2024年2月には自主企画『光のモンタージュ』を上演。ワークショップのファシリテーターとしても活動を広げている。
西崎羽美(監督)
2001年静岡県生まれ。大学在学中より映画美学校とのダブルスクールを行い、映画制作を学ぶ。映画美学校フィクション・コース第25期高等科修了。現在は日本大学大学院芸術学研究科映像芸術専攻に在学中。大学院では日本の非商業主義的映画(ATG作品)の研究を行なっている。本作が初めての劇映画。